2007年04月02日
またね
昨年末から綴ってきたこのブログも、とりあえずはこれでおしまいです。4年間みんなと楽しく過ごした京都とお別れし、自宅のある東京にもどります。
基礎演習の立ち上げや「月の下のカーニバル」、そしてスペースBの展覧会、毎夜のように開いていた研究室の晩御飯会...最初の1年~1年半くらいの出来事がとても懐かしく、そして意義のある思い出になりました。みなさんほんとうにありがとう。
では、これで京都とは絶縁か、というとそうでもなくて、これまでに生まれた人間関係をベースに、京都という奥の深い町との本当のお付き合いが、これからはじまると思っています。というわけで、連休明けくらいまでに2度ほど、また、ちょっとしたイベントを考えているので、年内に数度通うことになるでしょう。
一昨日引っ越してきた新しい研究室の窓からは、新芽が萌えはじめた武蔵野台地の広葉樹森が望めます。
じゃあ、またね。
森岡祥倫
Posted by morioka at 15:44
2007年03月08日
うっとおしいロゴを消す
研究室のブログ私物化の謗りにもめげず、また、ちょっとした生活小ネタです。
せんだって、卒業制作展の準備のために安藤先生・小杉先生とR171沿いの100円ショップを何軒かまわりました。それにしても最近は、品数が多くなったばかりでなく、デザインや機能もかなりよくなってきています。とくに食器類にいたっては、「これほんとうに100円でいいの?」というすぐれものも見かけます。
けれども、「このガラスコップ、かたちはシンプルでかっこいいけど、センスの悪いロゴやイラストはなんとかならんかね」というものもけっこうある。長く使っていれば薄ぼやけてきますが、それを簡単にとる方法を発見。
僕の試したかぎり、ガラス食器に印刷してあるロゴとかイラストは焼付けではないようで、“塩素系のトイレ洗浄液”をかけると30秒もたたずして溶け出し、水で洗えば跡形もなく消えてしまいます。磁器では確認していませんが、同様にとれる可能性があります。
ところで、僕のごひいきの100円ショップ「ナチュラル・キッチン/ナチュラル・プレンティ」が、今月京都の河原町にオープンします。ここで宣伝をしようというわけでもないのですが、この“ヒャッキン”に最初に行ったひとは、たいていびっくりするはず。“安かろう悪かろう”のイメージがどうしても払拭できなかった、というより、あんなに雑多な日用品の寄せ集めでビジネス・コンセプトなんて構築できないと思われていた業種が、“zakka”のイメージで見事にスジを通してしまったのですから。“エコ→雑貨=カフェ←脱フェミニズム”のコンテキストって、オヤジ的な先入観では、どうしても許容しがたい軽薄さがほのみえてしまうのですが、もうそれは捨てないと時代に取り残されるようです。うっとおしい観念のロゴは消しましょう。
zakka --- 恐るべき現代ニッポンの脱デザイン思想です。
森岡祥倫
Posted by morioka at 00:21
2007年02月26日
20070224まちあるき
2007年2月24日
“春二番”にしてはかなり冷たい風が吹くなか、午後からCULEのオープン・キッチンに家内とでかけた。たぶん20年ぶりくらいに降り立つ中央線の東中野駅。東中野ギンザ通りという、レトロな商店街を抜けて早稲田通りにぶつかるとすぐのビルに、彼らのキッチン兼オフィス兼スクールがある。

オープン・キッチンというのは、普段はケータリングの準備をしたり、クッキング・スクールを開いたりしている彼らの拠点で、ときどき(といっても今度が2回目)料理を振舞うお食事会。遠方のCULEファンにとっては“メッカ巡礼”みたいなイベントになる。午後3時をちょっとまわったころに到着。すでにいい香りがオフィスを満たしていた。キッチンわきのサービスヤードに次々と並べられる料理と酒を、かってにとって席でかってに食べるブッフェ・スタイル。

他にも、キッチンでハギワラさんらが次々と料理を作っては客席にもってきてくれる。「この野菜、なんだか名前忘れちゃったけど、どう?」ザルのなかにはスティック・セニョール(ブロッコリーの新品種)が色鮮やかに茹で上がっていた。塩と、誰かにもらったというオイルでおいしくいただく。そんな小振りのサプライズが次々と。料理のレイヴね。

途中で2人組のシャンソン・デュオとボサノバ・ソロのライブが入る。いかにも中央線系のゆるいグルーヴがいい感じ。この2人、名前を忘れてしまったけど、かなりのテダレでいいです。カフェとかパーティを流しているらしい。

目の前に座った若い女性、誰だったかな?ひょっとして?恐る恐る声をかけてみたら、案の定GOMAの中村亮子さん。名刺もらった!うれしかった!で、終わりちかくには福田里香さんもご到着。青森県立美術館の「縄文と現代展」で詰めたリキュールをそろそろ開栓とのこと。行きますよ!CULE、GOMA、福田里香・・・三天王の揃い踏み。ハギワラさんには、夫婦そろって各1冊持参した伝説の『東京エスニック料理読本』(冬樹社、1984年)にサインまでもらって、54歳のグルーピーには至福の時が流れる。
日が落ちてかなり寒くなってきたので家内は先に帰ったが、僕はそのまま8時過ぎまで居座り、となりに居合わせた女性たちと食の話に花が咲いた。この日集まったひとの大半は、たぶんそれぞれに仕事をもっているであろう30歳前後の若いひとたち。ヘタをすれば父親と娘、息子くらいの歳の差があるのに、なんとなく話が通じてしまう。うなずけるし、うなずいてくれる。
一方、この4年間、大学では食とコミュニケーションにまつわる授業を、自分ではかなり意識的な位置づけでやってきたつもりだが、正直なところ、二十歳前後の学生にはほとんど意図が伝わらなかったような気がする。こちらもその無表情ぶりに苛立ち、半ば自暴自棄に陥ったふしもある。つまりは失敗だな。
でも、考えてみれば無理からぬ反応だったかも。他人を相手に仕事をして稼ぎ、そのお金でごはんを食べるという日々の暮らしのシンドイ実感がまず基本にあって、それでもなお、食生活になんらかの想像力を働かせることで、その繰り返しのシンドサを乗り越えることができるのではないか、そんな切実な想いをまだ抱けない学生たちには、食とコミュニケーションなどといわれてもピンとこないのだ。すくなくとも、自己実現への欲求から自分の将来像を切り離せないかぎりは無理。おしゃれなカフェ飯探しが関の山。で、そこで誰と何について話すの?と言いたい。飯を食いながら、噂話とか仕事の愚痴じゃなくて、まさにいま食べている飯そのものについて、節操のある楽しい会話を他人とするというのは、結構難しい大人の仕業なんだよ。そういうの、できたほうがいいでしょ?この4年間、そのことを提案してきただけ…でも、もう諦めます。
とても冷え込む天気だったけれど、野菜を中心とするしっかりした料理と楽しいおしゃべりで、からだと心のあたたまる休日だった。もうすぐ春だよ。
料理の詳細は覚えてません。以下一部ですが写真をどうぞ。

ラムチョップの煮込み ピッザと茹でたスナックインゲン

80年代から続くCULE定番のカレー マグロかま肉と昆布の煮物

ワカメで煮た鶏(だったかな?) 何かのパテにほうれん草ソース

なつかしいズイキの煮物 ずっと僕の足元にいた どこの子?きみは
森岡祥倫
Posted by morioka at 02:48
2007年02月15日
3月4日東京都現代美術館
阿部修也さんをゲストに迎えるシンポジウムの日程が決まりました。「過去からみる美術の現在」と題する2部構成のトークセッションの第1部です。3月4日(日)に東京都現代美術館で開かれます。
昨年の1月29日に亡くなったナムジュン・パイク。いつかはまとまったモノグラフを書かなくてはと思っていますが、なかなかつかみどころがみつかりません。本人の残した無数の警句に翻弄されず、その本質を見出すのは至難の業です。うまくいくかしら。進行役としてはちょっと不安です。
森岡祥倫
Posted by morioka at 01:26
2007年02月03日
阿部修也さんと
ナムジュン・パイクさんが亡くなってそろそろ1年。その昔に東京と旧西ベルリンで、あわせても2時間ほどしか話したことがないのですが、研究者の好奇心から出た重箱の隅をつつくような質問にもていねいに答えてくれ、ベルリンのカフェではコーヒーとお菓子をおごってもらった記憶があります。合掌。
まだ最終的には日程と内容が決まっていませんが、3月上旬に、阿部修也さんとの対談が東京都現代美術館であります。阿部さんは、パイクとともに有名なパイク=アベ・ビデオシンセサイザーをつくった方で、他にもさまざまな技術協力をなさったエンジニアです。
もう多くの人が忘れていますが(というより気づかなかったようだ)、1984年、上野の東京都美術館で開かれた日本初の大回顧展は、阿部さんにささげられています。最初の展示室を入って右側の壁面、どの作品よりも高い位置に「盟友阿部修也に捧ぐ」とありました。どれほど二人の友情が厚いものであったかがしのばれます。
その当時、僕は東京・四谷の小さな出版社で編集の仕事をしていました。取材の名目で撮影許可を美術館からもらい、たぶんパイクさん自筆のパネルも撮った覚えがあるのですが、あの写真、どこへやってしまったかしら?阿部さんとお会いするときまでに探さなくては。
日程が正式に決まったらここでお知らせします。

上の写真(先週撮影)は秋葉原の電器街にあるジャンク・ショップ「内田ラジオアマチュアショールーム」です。今でも真空管とかバリコンとか、アナログ系の電子部品しか売っていません。元NHK技術研究所の研究員であったこの店の店主内田秀男さん(1995年没、超常現象を電磁気学的に解明する研究でも知られた)が、パイクさんと阿部さんを引き合わせたのです。オタクもアニメもメイドもコンテンツ・ビジネスも、いっさい関係がない時代の話です。
こういう逸話って、どんな文脈で記憶にとどめるべきなのでしょう。戦後美術史?酔狂な業界秘話?20年以上の遠回りをし、ようやくその答えを出せそうな気がしているこのごろです。
森岡祥倫
Posted by morioka at 02:10
2007年02月02日
シトロエン

今日、大学にフランスの自動車のシトロエンがやってきました。
と言っても、単なる車ではありません。作品です。
作者はログスギャラリー。遊びに(と言っても用事があったのですが)来てくれました。
用事がひと通り終わったあと、なんと、シトロエンに乗せてもらうことが出来ました。

作品は、シトロエンに取り付けられた3つのピックアップマイクが車の電気の流れを音に換え、様々なエフェクターを通して、まるでシンセサイザーのような音を奏でます。ウインカーの信号はスーパーウーファーを通して重低音となり、僕の背中を蹴り続けます。
僕にために走行順路まで下準備してくれて、それぞれのシーンに合わせて音が変化していきます。
感想は、最高でした。ものすごく気持ちがいいです。空気の振動だけでなく、加速感や路面の振動、そしてシンクロする景色。体感する音というものはこういうことなのかと、今までに無い経験をすることが出来ました。
ありがとう、また乗せてください。
森岡先生と稲垣先生、次に(3月頃ですかね?)また乗ってくださいとのことでした。
彼らは現在、シトロエンと共に全国行脚中。次は今月下旬から和歌山だそうです。
Posted by Yura at 23:16
2007年02月01日
WiiリモコンをWiiで使わない理由
またしても技術オタクネタです。
昨日、ようやく近所の家電量販店でDS Liteを買うことができた。DSとDS Liteには、海外の製品も含めて、仕事に使える便利なソフトやハードがたくさんある。すでに入手していた音楽・ビデオ再生用のハードと、中国製のPDAアプリ集(日本語対応)を使いたかったのだ。写真もビデオもFlashもだめだけど、オペラ・ブラウザでWebメールが使えるし、もう出先に重いノート・パソコンを携行する必要がなくなる!かな?
喜んで帰ろうとしたその矢先、店のゲームソフトのコーナーにWiiリモコンが中古300円也で売られているのを発見。よくよく見たらケースの角が少し割れている。誰かプレイに勢いつけすぎたのね。店員に尋ねると本体につないで正常に動作するところを見せてくれた。帰りのバス代で即購入。50分の健康ウォーキングとあいなった。
で、僕はWiiを持っていません。買う気もない。ゲームにまったく興味がない。なぜに?以下のブログとオープン・ソース・プログラムが答えです。早いものだと、Wii発売1週間後には公開されていた。ハードウェア・ハッカー恐るべしです。
いずれも、ROM書き換えみたいな違法なことはしていません。

●Windows用
(共に日本語サイト。Bluetoothでの接続が必要です。MSのドライバーではうまくつながらないことがあります。)
・WiinRemote
・Wii Remote Test
●MacOS X用
(現在のところアップル・リモートのみ対応)
・DarwiinRemote
◎そもそもWiiリモコンってどうなってるの?
・WiiLi
ハッカーはここまで調べ上げてしまう、という例。
森岡祥倫
Posted by morioka at 22:25
小学生ワークショップ1
少し前のことになりますが、1月13日、3年のプロジェクト演習1に関連して、近隣の小学校の生徒を対象とするワークショップを学生が企画・実施しました。
参加者は5~6年生の16名。3つのグループに分かれて、ステンシルの技法と蛍光絵の具を使い、大画面の絵を描きます。小学生がなかなか指示通りに動いてくれなかったり、かと思えば妙になつかれてしまったり、学生たちは初めての経験に戸惑いも大きかったようです。
最後に作品にブラックライトをあてると、会場からは驚きの声が。

次回は2月9日(土)の午前中。ビデオ映像と音声を逆転再生する、ちょっと変わった映像ワークショップです。111-A教室で。見学自由。
森岡祥倫
Posted by morioka at 04:23
2007年01月31日
まちあそび20070120
1月20日(土)
今日もまた横浜です。
BankARTに2人組のジャグリング・デュオ「オブジェ・ヴォラン」の公演『サークル+透明+コントルポワン』を見に行く。objets volantsとは直訳すると「飛行物体」。たぶんフランス語で未確認飛行物体を意味するObjet volant non identifiéのもじりだろう。最近流行りのヌーヴォー・シルク、つまり新傾向派サーカースで、F.フォーサイス以降の身体表現と情報学との関係をネットで調べていたとき、偶然その存在とユニークなパフォーマンスを知った。今回がはじめての日本公演。
幼いときに行ったサーカスでピエロがジャグリングをしていた記憶がうっすらある。以降、テレビをはじめとする映像や大道芸で何度かたまたま出くわしたことはあるが、これはやはり出色だ。最初の演目「サークル」がはじまったときは、まあこんなものなのかなというのが正直な感想だったが、それでも、複数の赤いリングが交差しながら宙を舞っている瞬間は、運動の軌跡が鮮やかな残像を残し、額に汗してものすごい集中力を発揮するパフォーマーの肉体の生々しさと、その“映像”との対比が初体験の僕の目にはとても新鮮に映った。この種の曲芸ばかりでなく、ある種のスポーツやダンスを生で見たとき、運動するプレーヤーの身体と運動フィールドとのあいだに同様の美しいブラーが生じることがある。
次の「透明」は、大小のアクリル・チューブとボールを組み合わせた演目。そして彼らの真骨頂「コントルポワン」。デュオで最大8個(?)のボールを操る。ジャグリング版の超絶アルゴリズム体操と呼んでおこう。当日配られたパンフやジャグリング関係のサイトの解説によると、1980年代から、物理学・数学的なモデルをつかってボールの運動パターンをシミュレートする技術が開発され、経験則だけにたよらない論理的な構成によるジャグリングの演出が可能になったそうだ。舞台にはビデオスクリーンが持ち込まれ、映像による舞台美術の要素となるだけでなく、現実には不可能だが、そうした物理シミュレーション上では可能な、仮想のジャグリングがCGで披露されたりもした。
公演が終了して会場を出ようとしたとき、サウンド・アーティストの山中透さんとその家族に出会った。奥さんとは大学のスタジオでflo+outの公開収録があったとき以来だ。息子さんを楽しませようと連れてこられたようだが、ご当人は半分くらい寝ていたとのこと。しっかりとモノを握ることさえまだおぼつかない歳だから、あのハラハラドキドキはわからないかも。
会場2階のバーで山中さんとビールを少し呑んでから4人で帰途についたが、みなとみらい線の馬車道駅至近に店を構える80*80(ハチマルハチマル)という小さなデリ・レストランで、軽く晩飯を食べようということになった。

店から80km圏内の産品を80パーセント以上使う、というのがコンセプト。贅沢なうまいものを食べさせる感じでは当然なく、しっかりと材料のうまみを味わってもらおうという意図に好感がもてた。山中親子は鶏肉とれんこんのハンバーグにパプリカ風味の野菜スープ、僕は根菜のどんぶりを注文。山中夫人がいたくこのれんこんバーグを気に入られたようで、調理人にこっそりレシピを教えてもらっていた。

常連客らしい若い女性がカウンターでひとり寂しそうに?食べていたので、我々のテーブルに同席を誘う。観光客と女子大生相手の京都の気取ったカフェ飯じゃあるまいし、こういう料理は初対面でもみんなでワイワイでしょ。八王子に住む陶芸家。今年のドクメンタに行くと言っていた。今度はカッセルで食べましょう。
ちなみに80*80は、第3回「美食同源」(2月2日~18日)の会場でランチを提供することになっている。今回の「美食同源」は、アーティストがいくつものワークショップを開きながら、BankART1929をレストランに模様替えするという趣向。あの威風堂々としたホール空間(元は銀行のロビー)のたたずまいからすれば、いつかは当然実現されるべき企画だと思っていた。オブジェ・ヴォランの公演の前にちょっと覗いてみたら、こんなかんじでぼつぼつ準備がはじまっていた。

2月2日のオープニング・パーティに出ることにした。また横浜だ!
帰宅後、最近買ったCDをHDに整理。音楽雑誌『specialoose』第2号(秋田昌美さんってヴィーガンだったんだ!)のオマケについてたコンピCDがなかなかよい。毎週東京と京都を往復する新幹線の2時間半は、たいてい音楽を聴いているけれど、ほとんどクラシックばかり。でも、今週はたまたま1980年代のキャバレー・ヴォルテールをHDに入れていた。当時はまったく関心がなかったが、今聞くとけっこう巧みでいいじゃないかと思うようになった。
森岡祥倫
Posted by morioka at 02:20
2007年01月29日
FLASHで外部機器のコントロール
各種のスイッチやセンサからデータを入力したり、モータなどのアクチュエータを動かす“インタラクティブな”作品を作りたいという学生のために。
プログラム言語にMAX/MSPやDirector(Lingo)を使う場合は、ソフト面・ハード面ともにあまり問題がないのですが、Flash(Actionscript)でプログラムを作るときにはどうしたらよいのでしょう。参考になるサイトをいくつかあげます。
シリアルポートやUSBを介してセンサやアクチュエータ、LEDなどをつなぐハードはかなり昔から存在します。ネットでいろんな種類が探せるし、値段も1万円前後からあります。自作をする人も大勢いるようです。しかし、Flash自体は基本的にシリアル・ポートを使えません。XMLSocketを介してシリアルポートに接続する専用のPROXYサーバー・プログラムによって、この問題が解決できます。
●FlashNetComportConnector
慶應義塾大学の学生、畑山裕貴氏によるWindows用プログラム。修整も頻繁に行われています。同氏のブログもスクリプトの勉強に役立ちます。
●Network / Serial port Interface
イタリアのHernando Barragán氏によるオープン・ソース・プログラム。WindowsとMacOSの双方に対応。10年以上前に僕が自作したI/Oボードと組み合わせてテストしてみました。非常に安定して動作します。
●Serial Proxy
ArduinoというI/Oボードのメーカーが提供するオープン・ソース・プログラム。28ピンのAVRマイコンを使ったこのボードは、USB版で$31.95とかなり割安。価格ではこれが一番安いでしょう。基板のみの販売もしており、なんと12ユーロ。ただし1.27mmピッチの半田付けに自信がある人向けです。また、30x18mmの基板に小型化したArduino Mini という製品もあります。SparkFunというサイトからUSB版が買えます。

なお、ArduinoとFlash、MAX/MSPの関係については、1o1o1o1o1が役立ちます。
●Make Controller Kit:ハードウェア
これも上のArduinoと同じI/Oボードですが、USBとイーサーをもっており、Flash用の専用ソフトがダウンロードできます。ボードは$149.00と少し値がはるのですが、ステッピング・モーターやサーボ・モーターが直接ドライブできるほか、簡単なプログラムをファームウェアとして書き込み、自立動作させることができます。つまり、パソコンが不要な“組み込み型マイコン”になるわけです。

●Phidget:ハードウェア
ネットでの情報をもとにするかぎり、僕の判断では現在のところこれが一押しです。アナログ入力・デジタル入力・出力それぞれ8チャンネルのI/Oボード(本体のみで100カナダドル)。様々な種類のセンサーやアクチュエーターをオプションで販売しています(値段はカナダからの送料がかかるのでかなり高い;ほとんどがアキバや日本橋で入手可能)。

ソフト的には、Actionscript他さまざまな言語が使えるだけでなく、これが一番興味をそそるところですが、インターネット経由でPhidgetを動かすためのPhidget Web ServiceというXML Socketプログラム(Windows用)が提供されています。つまり、携帯用のFlashムービーをつくり、それでボードが制御できるわけです。センサーからのデータを受け取って携帯電話の画面を動かすとか、逆に携帯から離れた場所のモーターを動かす、なんてことが可能になるのです。パソコンでの操作に比べると処理速度も使える機能もまだ貧弱ですが、最新の携帯電話には、Flash Lite2.0が入り、クラスを意識したスクリプティングがしやすくなっていますから、アイディアと工夫しだいで、ネットの仮想空間と実空間を結ぶ面白いプロジェクトが実現するでしょう。
Flashによるモバイル・コンピューティングとPhidgetに的をしぼった本が昨年末でました。携帯電話のほかにPSPでのFlashの扱いについても触れています。
『Flash for Mobile』クスール著、九天社、¥3360
Phidgetの全製品ではありませんが、ぷらっとホームという日本の企業が輸入代理をしています。
◎他にもいろいろ比べてみる
以下に20種以上の比較表があります。このサイトは他のページも大変参考になります。
SensorWiki.org
◎おまけ:もっと小さなコンピュータがほしい
ちなみに、アセンブラ言語やC言語というハードルが立ちはだかっていた組み込み用マイコン(ex.PICやAVR)ですが、NECが産業用に開発したフラッシュ・マイコンに人気が出始めています。なぜかというと、プリント基板素材の大手であるサンハヤトがトレーニング・キットを発売していることと、これに連動してApplilet EZ PLというビジュアル・プログラミングの開発環境を、コンパイラや書き込みツール、回路シミュレータなどとともにNECが無償提供しているからです。Applilet EZ PLは、論理記号などを画面上で配置していくだけでソース・コードができてしまいます。割り込みの概念も直感的に理解できるので、C言語はちょっと、という人にうってつけ。マイコンの種類も4~16ビットまでものすごい数のラインナップ。入門者に使いやすい8ビット4Kメモリーのものが500円程度です。
フィジカル・コンピューティングのコースや授業をもつ教育機関(工学系とは限らない)が世界的に増えているためでしょう、オープンソースのプログラムがたくさん公開されています。安価なボードをネット販売する企業・個人も多くなりました。DSなみとまではいかないまでも、手のひらサイズのインタラクティブ作品がこれからたくさん登場するかもしれません。挑戦してみてください。
50代に入ったとき、つまり京都に通うようになったころから、もうこの手の半田ごて世界やパソコンとはさようならし、原稿を万年筆で書いていたころに戻ろうと本気で思っていましたが、ワケあって今回情報を集めていると、また虫が騒ぎ出しそうな気配。
某企業が東京都心のビルの地下で稼動させている大規模な野菜工場を見学したときから、安くなった高輝度のLEDアレーと太陽電池パネルで、日当たりの悪い我が家の庭に、自前の小さな野菜工場ができないかと考えていたのです。高価なパソコンで常時全自動管理というのはさすがにバカバカしいですが、マイコンなら少しはコスト計算してみる気にもなります。シーザー・サラダ用のロメイン・レタス、育つかしら。
森岡祥倫
Posted by morioka at 04:39
2007年01月15日
まちあそび20070109
2007年1月9日
年末年始の休みは、冬枯れの庭いじりをしたり、積読の解消に精を出し、あまり遠出をすることがなかった。
庭といえば、年末にアメリカの絵本作家ターシャ・テューダーの暮らしぶりと家族の様子を紹介する番組をNHKで放送していた。絵本のほうはまったく関心がないけれど、このおばあさんが印税の大半を費やしてほぼ自力で育てた庭の映像は何度見てもはまってしまう。以前、彼女のガーデニング生活を取材した特番(DVDも販売)がやはりNHKであった。京都・寺町通りの電器店の店内に置かれたハイビジョン・テレビでたまたまそれに出くわしたのだが、1時間以上立ちっぱなし。ふと気づくと回りに他の客と店員が5人ほど、魅入られたように画面に向かっていた。ハイビジョンだから植物がことさらフォトジェニックに映える。
テューダーの19世紀的なナチュラル・ガーデンにせよ、デレク・ジャーマンの“アルテ・ポーヴェラ風コンセプチュアル・ジャンク・ガーデン”にせよ、欧米の人たちが庭に向かう姿はいつも精力的かつ戦略的で、視覚的な静謐さを旨とする枯山水のたたずまいとはまったく別種の結界を自然とのあいだにかけ渡そうする。暮れの番組で一番気にかかったシーンは、自分の体力や余命を配慮し、庭の一部を自然に戻すというくだりだ。とはいっても、自然に呑み込まれるまま放置するのではなく、野生種に近い数種の植物を庭と森の境界に配しながら、徐々に植生の秩序を冗長にするという方法をとる。人の手にかかった栽培種の体系の内部に存在する野生性と、外部の本来の自然とを混ぜ合わせるという、返還の手続きがとても見事だと思う。では、いったい何を還すのだろうか?
日当たりの悪い10坪たらずの我が家の庭は、これまでに庭師のようなプロの手が一度もはいったことがない。植栽というより、空き地にどこからともなくやってきた雑草がそのまま居座ったかんじ。3分の1くらいは、蛇イチゴのグランド・カバーになっていて、春には黄色い小さな花が咲き、夏から秋にかけてたくさんの赤い実が生る。そこに僕が買ってきた鉢植えが点在する。いつかはシンボル・ツリーを植えたりしてきれいに整えたいとは思うが、蛇イチゴのまにまに生えてくるほかの雑草をせっせと抜いたり、そのまま意図的に放置して共生させるのが意外に面白く、地味な“庭の制御”をもう少し続けたい気もする。
ある宴席でこの話を木本圭子さんにすると(メディア芸術祭大賞おめでとうございます!)、妙に共感なさったようすで逆にこちらの方が身構えてしまった。群生する何種類かの植物の力関係を、数ヶ月とか1年かけて少しだけいじって変化させるというのは、彼女のやってきたアルゴリズミックな仕事とどこかで通じるのかもしれない。たんなるアナロジーです。はい。
昼過ぎから、雨のなかを畠山直哉+鷲見和紀郎の展覧会(神奈川県立近代美術館・鎌倉館)に出かけた。あまりにお腹がすいたので、鶴岡八幡宮参道わきのうどん屋で昼食をとり、美術館に着いたころにはレセプション・パーティーもそろそろお開きというところ。東武ワールドスクウェアなどの建造物・都市ミニチュアを撮影した新作がとても面白い。パーティーでは、東京都写真美術館の笠原美智子さんや、何年ぶりだろうか写真家の渡辺兼人さんと出会った。渡辺さんは鷲見さんとの古い呑み友達だそうだ。
鎌倉からの帰り道、車中で米本昌平氏の『バイオ・ポリティクス』(中公新書)を読了。実は、バイオ・エシックス(生命倫理)論議が世界中で交わされた1990年代、日本では脳死判定の問題が臓器移植の実施基準とからめてメディアで騒がれていた。この話題は、いまでも記憶の深いところに残っている。人の死の淵をどのような幅で推し量るかというテーマは、日本人が昔から好きな世俗化したリンバス神話を喚起する力をもっているからだろう。しかし、著者の端的な整理によれば、バイオ・エシックスは、治療手続きに関する情報開示と合意形成の確立、要はインフォームド・コンセントの問題ということで、医療現場での義務化が進んだ今日では議論の軸がすでにずれはじめているらしい。
一方、多くの資料とその分析をもとにこの本で解かれているバイオ・ポリティクスとは、ヒトのゲノム情報の管理、臓器市場問題、細胞核技術の規制といった政治学的な主題であり、概ね1990年代以降あらわになる、身体の統合性と遺伝学情報管理の深刻な危機の回避をその課題としている。著者の主張は、南極大陸や宇宙空間や深海底のような、国際条約によって不可侵のドメインとされる自然と同じように、ヒトの身体・遺伝情報も国家や企業の独占的利用を退けるべき、あるいは極小化したリスク管理のもとでの活用を行うべき“内なる自然”であり、そのためのルールの確立が、十分な哲学的議論を含んでなされねばならないというところにある。
この種の啓蒙書は、資料やデータの羅列に終始し、そうした倫理的主題に著者自身がどのようなスタンスをとるのか分明瞭なことが多い。米本氏は、先端技術の企業に付置する基礎研究所の職員であるが、日本政府や官僚の対応を含め、辛らつで論理的な批判をくわえるとともに、自ら積極的な提案をしている。生命政治学の基本図書である。これほど爽快な読後感を味わった本は最近にない。
森岡祥倫
Posted by morioka at 02:28
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